人類が今まで経験したことがないようなパンデミックに襲われた2020年。夏場以降コロナ以前に戻ると思いきや、感染者数は未知の領域に突入。先が見えない中での2021年の始まりとなりました。思い起こせば去年の今頃マスクを付けるつけないという判断を、多くの人が自分なりの判断基準でしていました。1年経った後、マスクをするのは一部の「気にしない」人々を除けば当たり前となりました。個人的には人生で初めて一年以上風邪をひきませんでした。いかに手洗い、マスク、そして人と接しない、会食をしない、という新しい生活様式が感染症に効果があるのかを実感した次第です。

非対面でもビジネスは進みます。非対面であることが多くの新しいイノベーションを生みました。今では会社勤めをする方なら誰しもZoomという単語、サービスを知っています。これも驚くことですが、1年前は一部のIT系の会社以外は誰も知らなかった単語です。同じく、オンライン展示会やライブ配信など、技術的には何年も前からできていたのに、なかなか流行りきらなかったそれらの新しいビジネスが、あっという間に浸透しました。

それらのテクノロジーの進化に伴い、今まで、出向かなければ対応できなかった商談が、オンラインで平然と行われ、それに対して文句を言う人もいなくなりました。東京ー大阪間を山手線に乗るように移動していたビジネスマンも、今では果たして電車代3万円の価値とは何だったのだろうかと考え出しています。

同時に日常生活においては、店に入る際に体温を測られ、アルコール消毒することが日常へと変わりました。今まで平気で触っていたドアノブやエレベーターのボタンを押すのをためらう人も多くなったはずです。コロナ前までは自動化といえばタッチパネルでしたが、もう誰もタッチパネルを触りたくなくなりました。代わりに音声案内や案内ロボットが増えていくでしょう。店で手持ち無沙汰に両手を前に合わせて、笑顔でお客様を待っているのは、不要なだけではなく、もはや対面を避けるという意味で迷惑ですらあります。

このように世の中が大きく変わった一方で、未だにモノを売るには実物を見たいと考える人が大半です。そのような中でも過去を振り返りオンラインショッピングが流行ってきたのは、1.返品保証の業者が増えたことと、2.ダメ元でも利便性の引き換えに知らないものを買う人が増えたことが大きな理由です。人それぞれの財布事情にも依存しますが、私の場合は1万円くらいまでは失敗してもまあいいかと思い、見たことも触ったことも無いものをネットの情報だけで買うことがよくあります。これは、実際に見に行く時間的コストが割にあわないことと、まあ、使えるだろうという正しい判断を鈍らせる正常性バイアスの仕業です。

しかし世界を広く見てみると、1,000万円近いのものがオンラインで何十万台と売れています。そうです、イーロン・マスク氏が率いるテスラの車です。既にオンラインへの全面移行を実施して1年以上経つ、テスラはショールームを除き順次実店舗を閉鎖していっています。もちろん世界の主要都市では一等地にテスラショールームがあり、そこで実際のテスラを見ることができます。しかし伝統的な試乗というスキームもイーロン・マスクにはコストのかかる無駄な投資のようです。テスラでは購入後7日間、もしくは1600キロ未満の走行であれば返品可能というスキームを1年ほど続けてきましたが、昨年末にそのサポートも終了しました。これによりテスラのオーナーになりたい人は何百万円の車の購入を、実車に乗ることなく決めなければならなくなりました。それでもテスラの販売台数と業績は堅調に推移しています。

このような事例から我々は何を学ぶべきでしょうか?全てがオンラインにシフトしており、今まで当たり前であった対面ビジネスが非対面となっていきます。「おもてなし」というおまじないワードで、自身の高コスト体制を肯定し、消費者に高額な請求をしてきた日本のビジネスは大きな岐路に立たされています。丁重に頭を下げられるよりも、自分の空き時間に必要な契約を自分のスマホからできることの方がよほど付加価値があるということを、若い消費者は既に気づいています。昨年ドコモのサポート業務の一部が有料になりました。これは、上記の笑顔で両手を揃えてお客様をお出迎えするのがいかに時代錯誤であったかをドコモ自らが認めたことになります。楽天モバイルの脅威にドコモ自身もオンライン専用のプランを提供するに至りました。月額2,980円と、8,000円、違いがドコモショップに行っていろいろ質問できる「だけ」であるならITリテラシーが高い若者が前者を選ぶのは必然です。

ブロックチェーンロック社ではビジネスプロセス全てをオンライン化することに注力しています。これは営業担当と話したい一部の顧客からすると非常にストレスを感じることなのは事実です。一方で、限られたリソースを最大限に活用するという文脈で考えると、全てをオンライン化し、サポートチケット化した方が「確実に」対応できるチケットの数が増えます。対応できるチケットの数が増えれば、多くの事象に接することができ、結果より多くの課題を解決し、サービス品質全体が向上することになります。営業担当という職種自体が存在しない当社ですが、お客様には名刺交換した担当に電話する前に、チャットやチケットで解決を試みていただくことが、全体のサービス品質向上に繋がることをお伝えしております。

今回のパンデミックは、非対面、非接触ソリューションを提供する当社から見ても多くの学びがありました。先述のタッチパネル端末はその最たる例で、多くの事業者がタッチパネル式自動化端末を検討していましたが、昨年の後半からやはりスマホでという話を多く聞くようになりました。今後顧客のスマホで、自社サービスの業務をやってもらうというう意味では多くの試金石的プロジェクトが走っています。この方向性には概ね賛成ですが、ポイントが2つあると考えます。

ポイント1.インバウンド向けの民泊等で一時流行ったチェックインタブレットは今後廃れていくでしょう。もともと長距離飛行機で飛んできた訪日観光客は、スマホの電池もWiFiやセルラーネットワークも無いだろういうことで、予約番号さえあればチェックインできるチェックインタブレットが重宝されました。しかし、当面外国人が来ないこと、技術の進化で、エコノミー機内でも給電できたり、格安のローミングサービスで、空港に到着して直ぐにインターネットが使える環境も当たり前となってきました。このような環境を鑑みるとチェックインのような短時間しかかからず、文字入力や写真撮影が多い業務は実は顧客の使い慣れたスマホ端末が最適とい結論になります。

ポイント2.一方で、長時間専有する業務はどうでしょうか?長時間専有する業務で当社に関係あるのはスキャン式ショッピングカートです。これはヨークベニマル様にご利用頂いていますが、顧客がスキャナーと重量センサーがついたショッピングカートでスキャンしながら買い物をし、最後に自動レジや自身のスマホで決済して退店するというソリューションです。このモデルは非常に伸びると見ていますが、一方で他社に顧客のスマホでスキャンしてもらうというソリューションもいくつか存在します。これに関しては既に中国で実績があり、顧客はスマホを必要な自分のタスクをするために持っているのであり、買い物中ずっと専有されることは非常に嫌がるという結果が出ています。その店舗では結局、顧客スマホでの買い物への不満が非常に大きかったため追加でスキャン型カートの追加購入を決めました。

このような事例から分かることは、顧客は短時間の文字入力や決済であれば自身のスマホを使うことを望む。一方で、長時間のスマホの占有は、自分がやりたいことをできなかったり、バッテリー残量が気になったりで、敬遠されるということです。

このように社会の流れと局所的事象を整理していくと、2021年はあらゆるビジネスのビジネスプロセスがより洗練されたものになっていくでしょう。そしてそのプロセスを通して顧客満足度を上げるポイントは下記の2点です。

1,顧客の満足度はいかに自分のやりたいタスクを自分の空いている時間で完結できるかにかかっていること

2.顧客は短時間のタスクであれば自分の端末を使いたいこと

最後に「ブロックチェーン」という名前を冠する会社ですので、我々が見る2021年をご紹介して終わりにしたいと思います。

多くの方が忘れていると思いますが、昨年末にビットコインの価格は300万円を超えました。これは仮想通貨バブルと言われた2018年を1.5倍も超えるものです。実態のない詐欺的なプロジェクトがあったことは事実ですが、多くの開発者の貢献により確実により価値がある資産に変わっているには事実です。そして何より相場は水物であり、相場が大きく動くのはそもそもビットコインのせいではありません。株式に関しても同じような歴史を何度も繰り返して現在の相場が形成されてきました。テクニカルや、財務指標分析で適正価格をはじき出す仕組みが出来たことと、各国政府の不断の金融安定化の努力で不正ができない仕組みを築き上げてきたことが相場安定化の理由です。それでも集団恐怖心理による暴落や、インサイダー取引、未公開株の不正取引の可能性ゼロではありません。ビットコインを代表とする暗号通貨も、相場の荒波を超え、二番底、三番底を経て、投資人口の増加と共に価格が安定化していくでしょう。実際に昨年後半から世界中の多くの伝統的金融事業者がビットコインという資産を自社のポートフォリオに追加し始めています。

私個人的にはビットコインの最大の発明は、参加者全員が自分のことしか考えていないのにコンセンサスが取られるという仕組みそのものだと思っています。ブロックチェーンロック社のビジネスに関して考えると、ドアの先の空間を悪用しようとして利用しても、何故か社会全体に役立ってしまう、そのような仕組みと世の中です。そんな世の中は来ないでしょうか?来るかどうかは我々の努力と社会情勢次第です。壮大な構想も第一歩である自由に動かせるIoTデバイスがなければ始まりません。そのような思いで日々非対面テクノロジーに磨きをかけています。

未来は誰にも予想できません。しかし、2021年は昨年より予想できる部分が多いのは事実です。ブロックチェーンロック社では、この曲がり角の先に「見えている」部分での地の利を最大限に活用することで、非対面テクノロジーをリードしていく所存です。

本年も変わらぬご指導、ご愛顧の程、宜しくお願い申し上げます。


昨年から、小売ではユナイテッドアローズやライトオンのZOZO離れ、ワークマンの楽天離れ、ホテルではアパのOTA(オンライン予約サイト)離れなど、プラットフォームからの離脱が止まりません。元楽天でプラットフォームによる囲い込みを14年間やってきた、私の経歴からしても、ついにそういう時代になってきたかという感慨深いものがあります。

その圧倒的な集客力を武器に多くの店舗を魅了し、また多くの成功店舗を生み出して来た楽天も数年前に流通額ではAmazonに抜かれ、いつしか市場事業の流通高が、決算報告から消えました。複雑に設定された楽天の従量課金のテーブルや、広告メニュー、決して顧客情報を店舗に渡さないシステムや、課金逃れを監視するパトロール部隊、これらば全てうまく機能していたのは、その圧倒的な成長率というネットワークエフェクトが効いていた時代です。その次代には三木谷社長から「Take rate(流通額に対する合計課金率)は10%を目指せ」という威勢のいい怒号が飛んでいました。

かくいう私も、楽天ブラジルの社長という立場で、どのようにTake rateを上げるのかという課題に取り組んでいました。ネットワークエフェクトなど全く効いていない、地球の裏側のスタートアップでクライアントから10%も取るのはもちろん無理な話で、当時から果たしてネットワークエフェクトが効いた後も10%を課金するのは持続可能なことなのだろうかと常に考えていました。

考えてみれば当然ですが、オンラインショッピングには送料がかかります。通常この送料は全体の商品単価の10%程度かかります。ここに広告宣伝費15%から20%、プラットフォーム利用月額費用とプ従量課金が10%、原価が6割程度だと人件費を払う前に赤字です。健康食品や美容関連商品が大きく売上を伸ばすのは最もなことで、原価3割程度のものであればこのような重課金の中でも売上を伸ばせます。一方で原価率が高い商品はほぼ儲からない構造になっています。

これは、オンラインショッピングモールの店舗に限ったことではなく、プラットフォーマーそのものとしても同じことが言えます。楽天でもある時期まで多額の広告をGoogleに出していました。ある時期を境に極端にGoogleへの広告費を削減することになりました。こちらも考えてみれば当然ですが、流通を伸ばすためにGoogleに頼らなければならないのは、Googleに税金を払っているようなものです。汗水垂らして作った流通を、汗を流さない仕組みを作ったGoogleに税金として納付するのは、プラットフォーマーには耐え難いことです。ショッピングのプラットフォーマーの価値は、google.comとブラウザに入力せずに、いかにamazon.com やrakuten.co.jpと入力してもらいお買い物が始まるかという、ダイレクトトラフィックの多さです。これが大きければ大きいほど、Googleに払う税金は少なくなります。この勝負は既にAmazonがGoogleに対して圧勝したことにより、決定済みかと思われていました。確かにオンラインショッピングに関してはそうでした。特にAmazonのように、多額の投資を物流にした今、倉庫を持たないGoogleがショッピングでAmazonに勝てることはないでしょう。

ところが、オンラインショッピング比率がある程度高まり、日本では10%近く、進んでいる韓国やイギリス、アメリカでは15%少々となった今、0%から5%まで伸びた時代のような成長はもう望めなくなりました。昨今のコロナ禍で、今までもうオンラインに移らないと思われていた商品までオンラインで買われることにより、アメリカではこの2ヶ月で更に10%ほどオンライン比率が高まったというデータもあります。このような例外的外部要因はあるものの、根本的にはオンラインショッピングの市場が2000年代初頭のように大きく伸長していない昨今、楽天やAmazonに出店の店舗でも、流通額が昨年比で横ばいか、少しのマイナスという店舗も少なくないはずです。そのような成長率になった際、プラットフォームに出店する店舗はどう感じるでしょうか?成長もしないチャンネルに、もしかして自分が作った顧客かもしれないのに、10%払い続けること、その意義を見いだせなくなる店舗が多くなるのは当然でしょう。特に自分のブランド価値に重きを置くいわゆる、ハイブランドの店舗はブランド価値の毀損という立場からも、プラットフォームを避けるようになりました。

この動きを更に拍車を掛けているのが、実際の施設がある飲食店、美容室などのビジネスです。これらの実際に施設があるビジネスの集客プラットフォームは更に苦境に立たされています。2019年3月期のぐるなび最終利益が8割減という数字は衝撃的でしたが、これは何もぐるなびに限ったことではありません。これらの実施設あるビジネスの集客プラットフォームはGoogle Map Engineに中抜きにされつつあります。今までぐるなびやホットペッパーに広告を出していた飲食店や美容院が、Googleマップ経由で顧客の流入が増加していることに気づいた時どうするでしょうか?もともとぐるなびやホットペッパーなどの集客プラットフォームは、オークション広告方式をとっており、より高い金額を支払った店舗が上位に表示されるという、大資本企業向きの仕組みでした。これが、街の個人経営の店舗でも平等にGoogleに表示され始めた時ゲームが変わり始めました。個人の施設であってもGoogle Map Engine対策と、インスタグラム対策をしていれば集客できるようになったのです。また、Google Map Booking APIの提供が開始されたことにより、集客に課金するプラットフォームでない、予約サービスなどの安価な機能サービスの契約で、Googleが無料で集客してくれるようになりました。今の所、美容室、レストラン、フィットネス、医者、士業等に限定されていますが、今後あらゆるローカルビジネスに拡大されていくでしょう。

ホテルに関しては今の所GoogleがOTAに接続先を限定しているので、美容院やレストランで起きているようなドラスティックな、垂直統合は起きていません。しかしながら、トリバゴのようなプラットフォームのプラットフォームがでてきたことにより、従前のプラットフォームなしに、直接自社サイトに集客できる道が開かれました。近い将来、ホテルもGoogleマップに収束していくでしょう。これは、Amazonが物流に投資したように、Googleが地図に投資したことにより、資産の勝負で他が追いつけない状況を築き上げたからこそ実現し、また他社はあっという間に太刀打ちできなくなるのです。

このような観点で考えると、楽天が楽天モバイルなど、資本力を生かして今のうちに資産偏重な投資をすることで、他のプラットフォームと差別化しようとしている意味が理解できると思います。以前はプラットフォーマーは自社で在庫を持たない身軽さ故に、ネットワークエフェクトが効き、大きく成長するという構造でした。今、時代が変わりそのような最初のネットワークエフェクトの波に乗れた大手IT企業が、資産偏重の投資をすることで、他社が追いつけないプラットフォームに進化しようとしています。

さて、このようにプラットフォームビジネスの変遷を学習した今、既存の岐路に立つプラットフォーマーや、既存産業からや全く新規で新たなプラットフォームを目指すプレイヤーはどのような戦いをしていくべきでしょうか?

いくつかの方法が考えられます。先ず、既に資産をもっている重厚長大産業からのデジタルトランスフォーメーション(DX)です。Amazonの物流投資、Googleの地図投資のような少資本の会社では太刀打ちできない仕組みを既に持っている既存産業のプレイヤーが、自らをテクノロジースタートアップ並にデジタルトランスフォーメーションする方法です。こちらはより強いリーダーシップとスピード、垂直統合に対する深い造詣が必要です。

次に岐路に立つプラットフォーマーが取るべき道は、社運をかけて資産偏重の投資に足を踏み込むか、使い続けられるニッチなインフラサービスを目指すかの二択になるでしょう。

ニッチなインフラサービスとはクレジットカード決済のStripe的な、ある特定されたサービスを担うテクノロジープラットフォームです。カード決済手数料だけを考えるとStripeは決して安くありません。しかしながら、その柔軟なAPIやサービスは多くのスタートアップのCTOに支持されています。そしてそれらのスタートアップがユニコーンになった後も、手数料の調整こそあれ、継続してStripeを使い続けています。究極的には他社と変わらないサービスなのですが、既に使っているサービスが便利で、変える必要がないからです。このStripe的プラットフォーム、即ち、ある特定の業務やサービス、プロダクトをデジタル化し、自社でやるよりもリーズナブルなコストで提供し続けることに、テクノロジープラットフォームの勝つ道があります。

ちなみに、楽天では設立当初からコスト/(パー)流通額という指標がありました。流通に対して、例えば5%の手数料を店舗さんから頂戴しているわけですので、そのシステムコストは必ず5%以下にならないと儲かりません。流通手数料からシステムコストを引いた残りから人件費や固定費を捻出する必要があるからです。実際には広告収入もあるので冒頭のTake rate 10%近い中での計算になりますが、考え方に違いは有りません。仮に「コスト/流通額」が1.5%(根拠ない推測値です)ならどうでしょうか。楽天が楽天の規模でやって1.5%です、オンラインショッピング初心者企業がやって絶対にそれ以下にはなりません。このシステム費が相対的に自社でやるより安い数字、バランスが取れる数字が、テクノロジープラットフォームが顧客に課金できる数字であり、その課金体系で、全体コストがペイできるリーンな仕組みを提供することが、テクノロジープラットフォームが成長するヒントです。

従前の産業構造のプレーヤー自身がDXを通して自社をテクノロジープラットフォーム化していくのか、既存のプラットフォームプレイヤーがそのデジタル資産を駆使して既存産業を飲み込んでいくのか、あるいは、ニッチなテクノロジーサービス企業が生まれるのか、2020年は正にその転換期です。この鬩ぎ合いで生まれる勝者こそがプラットフォーム2.0を名乗る資格があるプレイヤーとなるでしょう。その一つがブロックチェーンのインフラであってもいいのではないでしょうか。


緊急事態宣言が開け、今日6月1日の月曜から急に慌ただしく街が動き出しました。3人が、4人が一緒に歩いている姿を良く見かけました。コロナ拡大に一抹の不安があるものの、やはり人間は繋がって生きていかないといけないと、強く心に思った一日でした。

さてそんな2020年6月1日ですが、実はKEYVOXスマートロックシリーズを初めて納品して丁度1年が経ちました。マーケットに出て一歳です。可愛い我が子の成長を祝うとともに、まだ一年しか経っていないのかと、振り返ると強力に凝縮された365日だったと思う次第です。

その一年を振り返って思うのは、先ず第一にまだ実績もない我々スタートアップの製品を、気に入ったと買って頂き、まだまだよちよち歩きの我々にチャンスを頂いたアーリーアダプターの偉大な経営者の皆様方への感謝です。多くのご迷惑をおかけし、時には厳しい叱責を頂きながらも、それでも使い続けて頂き、そしてまた追加購入して頂けるお客様が多いという事実に本当に胸を打たれます。中には諸先輩企業のサービスから乗り換えて頂いた事例も多数あり、それらの事例の蓄積が自分たちが提供しているサービスに日々裏書きを頂いていると感じております。新しいテクノロジーとはそのようなアーリーアダプターの皆様に支えられて成長するものであることを改めて実感させて頂きました。

このご恩を忘れないようにKEYVOXブランドを更に次のステップへと押し上げていくのが、我々の責務だと認識しております。

さて、このように多くの皆様に支えられるブロックチェーンロック社のKEYVOXサービスですが、実は私のひょんな思いつきから起業に至ったという事実は意外と知られていません。今日はそんな昔話をひとつ共有させて頂きます。

時は2016年、5年間赴任した楽天ブラジルから帰任して1年とちょっと経った頃です。当然ブラジル市場に外国人として徒手空拳で挑んだ、アドレナリンたっぷりの5年間に比べて、何かと刺激が少ない時期でした。そんな時期に民泊やらレンタルスペースやらが流行りだしました。昔から建築とか空間とかそういうものが好きでしたので、それらを無人でやれば、儲かるのでは、というより純粋に楽しいのではと思いました。調べて調べて調べても、無人でやるには相当のシステムを構築しなければならず、システム開発歴が長い自分が見積もっても1000万は当然、2000万円くらいかかりそうでした。これは副業でやるような投資ではないと思い留まったものです。しかし同時に、もしカギが自分のやりたいことを全部やってくれたらどんなに便利だろうと思い描きました。そんなことを考えている間に本業の楽天では楽天ブロックチェーンラボの責任者となり、2017年から2018年にかけて世界の分散化と共に何か新しいものが生まれそうな予感がしていました。

結局、ビットコインブームに始まった仮想通貨狂想曲は、バカが大バカに売るという理論を証明しただけのように世間一般ではとらえられています。しかし、私個人が思うビットコインの偉大な発明とは、決してその相場ではなく、皆が自分のことしか考えていない状態でコンセンサス(同意)が得られるという自律型システムそのものだと考えています。これはすごいことで、AさんからBさんに本物を送ったという証明が、自明にできるシステムはビットコイン以前には存在しませんでした。

このカギ自身がビジネスをできて、ビットコインを送るように空間を共有できたら、所有権そのものの定義が変わるのではと思いました。場所の定義が変われば生き方が変わる。好きな時に好きな所に住んでそれでも、しっかりと働きながら豊かな生活を送れる。このインターネットという素晴らしいインフラの進化した時代に何故そんな基本的な人間の欲望が叶えられないのかと不思議に思っていました。だからこそ、それを実現する力があるテクノロジーに没頭していったのです。この人々の生き方を変えたい、という熱意の続きがブロックチェーンロック社の創業であり挑戦です。

時代の進化とは面白いもので、時には予期もしない黒船が時代をあっという間に変えてしまいます。今回のコロナ禍は正にその黒船でしょう。世界中の多くの人が初めてのテレワークをすることになり、思ったよりも仕事が捗ると感じたはずです。テレワークは残酷で、アウトプットを出せるハイパフォーマーと、出せないローパフォーマーの成果を明確にあぶり出します。そんな過酷な一面を持つテレワークですが、今までの人を都心に集めてスマートシティと称して、労働力を酷使する仕組みから、一気に分散化への道筋が見えたという、世界の分散化を目指す立場の人間からみると非常にポジティブな一面もあったと思います。

これからの数年は大きく時代が変わっていくでしょう。それは、自分がブロックチェーンロック社を創業する前に思った、ロックだけでビジネスができる世界かもしれないし、ブロックチェーンが個人間の取引を裏書きするインフラになっている時代かもしれません。一つ明確に言えるのは、自分たちは自分たちが実現したい世界のテクノロジーを着実に開発しており、毎日一歩図ずつその世界に近づいているということです。もちろん人様から出資をうけているテクノロジースタートアップです。綺麗事よりもビジネスの結果を求められます。自分が思うにビジネスの結果とは、この1年間、実績の無い当社のシステムや商品を、「岡本さん、あんたの言っている事は面白いから買ってみるよ。」と言って頂いたお客様達のような、私達のストーリーを面白いと思って頂くファンを増やすことではないかと感じています。もし同じ機能の製品なら、ちょっと面白いと思った人間を応援してみたい。そんなピュアな動機の積み重ねが、どこかで化学反応を起こして一気に世の中を変えていくのではないでしょうか。自分たちの努力の方向性は、一にも二にも良いサービスを作ること、そおしてそのストーリーをファンの皆様に余すことなくお伝えしていくことだと認識しています。

次の一年もますます進化するKEYVOXの非対面サービスを宜しくお願い致します。


最後の投稿から早くも1年と3ヶ月が経ちました。人によっては岡本は何をしているのかと思っていた方も、そもそも忘れていた方もいるでしょうか。2020年5月現在、ブロックチェーンロック社も岡本も元気にやっています。最近の記事の殆どは自社メディアであるスペースレンタルトゥデイ(https://spacerental.today)に投稿しております。必然的にこちらMediumに投稿する時間が少なくなりお詫び致します。また、昨今の新型コロナ感染症の影響で、経営環境も非常に厳しく、ゆっくりと立ち止まって考える時間がないことも大きな課題となっています。

とはいえMediumはブロックチェーンロック社としてブロックチェーンの話をする唯一の媒体と考えているため、回数は少なくても継続して投稿をしていきたいと思います。

さて、その後1年とちょっと、新型コロナウイルスと共に、ブロックチェーンを取り巻く世の中はどう変わったでしょうか。前回の経産省の報告書のブロックチェーンの活用が期待される5つの項目に関して、ブロックチェーンロック社としての取り組も確認しながら、再度レビューをしていきたいと思います。

再掲:ブロックチェーンで社会変革が期待される分野

1.価値の流通・ポイント化、プラットフォームのインフラ化

2.権利証明行為の非中央集権化の実現

3.遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現

4.オープン・高効率・高信頼なサプライチェーンの実現

5.プロセス・取引の全自動化・効率化の実現

1.価値の流通・ポイント化、プラットフォームのインフラ化

新型コロナでひとつ加速されそうな分野があるとするならば、「お金を触らない」という意味でのキャッシュレス決済です。一方で、ポイントシステム業界は楽天とTポイントを双翼にほぼ変わりなく成長しています。少しの利便差の引き換えに、個人情報を渡すのかという視点で考えた時に、この1年の動きを見る限りは、取られている情報の多さには驚きながらも、「その程度なら継続利用する」という意見がマジョリティのようです。実際に中国では日本からの想像を絶する監視社会ですが、新型コロナ感染症で明らかになった事実は、安全のためなら個人の人権は少々制限されえても仕方ないと考える人々が増えたことです。一般市民がスマホだけで感染者がどこの地域でどういう店舗に出入りしたかまで詳細に知ることができます。日本では東京23区レベルでの情報を出すのに2ヶ月程かかりました。この流れを考えると、中央集権者から独立した、人々のグロー−バルなデジタル通貨が世の中に出回る可能性は、昨年よりも少し後退したと言えるかもしれません。

ブロックチェーンロック社ではネイティブトークンのBCLの他に、そのBCL上で発行できる、「BCLポイン」というサービスを始めました。これは従前のポイントシステムをブロックチェーンで発行するという野心的な試みです。おまけとしてのポイントから初めて、前払い式支払い手段を追加する準備を進めております。特に、当社の場合物件を持つホストと、物件を利用するゲストがいるマーケットプレイスを運営していますが、各ホストが自分でポイントや前払い式支払い手段(所謂電子マネー)を発行できる環境を提供していく予定です。ここで課題となるのは、通常の商取引として、どうしてもキャンセル対応をする必要がありということです。P2Pのポイントをキャンセルするのは実はものすごく大変です。そもそも購入時はゲストは自分のウォレットの資産に秘密鍵で署名してポイントを送信しています。P2Pでホストにポイントが渡ると、仮に何らかの条件で自動キャンセルを走らせたい場合でもそれはシステムからはできません。クレジットカードでしたら、システムがカード会社のAPIを叩くだけでできてしまうのことが、ブロックチェーンではできません。ホストに一旦届いたポイントを払い戻すには、ホスト自身が自分の秘密鍵で再度送信の指示に対して署名をしないといけません。これを考えるだけで、ブロックチェーンのポイントの社会実装が当面先か、そもそもそのような利用はフィットしないのかということが分かってくると思います。

2.権利証明行為の非中央集権化の実現

新型コロナ助成金関連で、納税証明や、登記の重要事項説明書等多数のお役所系書類が必要となりました。いざ役所まで取りに行かれた方は分かると思いますが、大変な混乱です。もちろん書類を取りに来た経営者も社運がかかっていますので、当然と言えば当然です。

そのような中で、竹本直一IT相がハンコ文化がなくならないのは、「所詮は民間の話」といい大きな反響を呼びました。その反響のほとんどが、「民間より役所だろ、デジタル化が進んでいないのは!」という憤りです。もちろん上記の納税証明や、謄本等をオンラインで申請することは可能ですが、初心者がいざ申請しようとしてすんなりと申請できることはまずありません。そのような立場で発言される方は、民間の企業がどれほどUI/UXに執念とコストをかけて改善してきたかという事実をご存じないのだと思います。そのUI/UXが「いけてない」のは、国や自治体としてデジタルサービスをどういう方向に持っていきたいのかというビジョンがないからです。数年前にビットコインが流行り、ブロックチェーンが流行った際も、地方自治体の首長や役人はその実態を勉強して、口々にブロックチェーンがどうのと言っていました。それから3年もう誰も言う人はいません。ここにきて、急遽テレワークやリモートワークという流行り言葉で、デジタル化を進めさせようとしていますが、流行りものに乗るだけでもともとの国としてのビジョンがないため成功するわけはありません。個人的には「公共サービス」 as a Serviceくらいの、劇的な取り組み方で行政システムのIT化を民間に委託しないと、現状は当面は大きく変わらないと思いす。

3.遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現

ここが実社会でブロックチェーンが一番活用しうる分野だという確信の元に、ブロックチェーンロックを創業しました。2年経った今、自分の通信簿を見ると、5点満点の2点くらいでしょうか。1点はブロックチェーンは難しいものだということを実際に触ってみて、開発してみて理解できたこと。2点目はシェアリングの際に必須となるIoTデバイスの開発は終了したということです。ブロックチェーンロック社では現在「KEYVOX 」というブランドでスマートロックと、スマートロッカーを販売していますが、これはこれで非常に良く出来た製品、サービスだと自負しています。例えそれがブロックチェーンの可能性のほんの一部しか利用していないとしてもです。

結局、ブロックチェーンの力でシェアリングをしようとすると2つの大きな課題をクリアしないといけません。

1つ目は、P2Pのデジタル通貨必要なことです。この1年で、PayPayやLINE Pay等多数のQR決済が興隆してきました。しかしこの中央集権的デジタルマネーを使っている限りはブロックチェーンは不要であり、それは従前の中央集権的電子マネーとIoTプラットフォームの組み合わせで終わります。ブロックチェーンが素晴らしいのは個人が巨大なネットワークの一翼を担いメッシュ状のネットワークを作っていくことです。そのネットワークの実現には、既存の電子マネーではなくビットコインのようなP2Pのデジタルマネーが必須です。

もう一つが、秘密鍵の管理です。自分の家のカギのように、ネットワーク上にある資産の秘密鍵を自分が保有することは素晴らしいことです。一方で、自由には責任がついて回ります。秘密鍵を無くしたら全ての資産がなくなります。当たり前といえば当たり前のことですが我々現代人はその深刻さを理解して生きていません。確かに現金をなくしたら諦める人は多いでしょう。金塊を盗まれても諦める人が多いかもしれません。それは所有権が物理的に保有している人に属するという資産の性質だからです。一方で、銀行預金や不動産などはどうでしょうか?銀行には預金保護が働き1口座1,000万円までなら政府に保証されます。通帳や印鑑を無くしても、本人ということが何らかの方法によって証明されればその預金にアクセスできるでしょう。不動産に至っては更に明確で、家のカギを無くしたところで登記が抹消されるわけではありません。また破錠して家に入ることもできます。このようになんらかのバックアップ手段が存在する過保護にされた世の中に生きる現代人にとり、ある日突然「秘密鍵」は命の次に大事です、無くしたら終わりです。と言われても、どうすることも出来ないし、そんな資産怖くて持ちたくないというのが普通の人の心です。

この2つの課題に対する回答が用意された時、P2Pでのシェアリングは爆発的に増えていくと思います。ブロックチェーンロック社では通信簿の残りの3点をこの課題を乗り越えることで実現していきたいと考えています。

4.オープン・高効率・高信頼なサプライチェーンの実現

この4つ目のサプライチェーンに関するブロックチェーンの社会実装に関しては、当社自身がフォーカスしていないこともあり、昨年も割愛をさせて頂きました。今年も同様ですが、ざっと世界を見渡しでも実際に使われ始めたという実例は聞きません。仮に使われているとしてもそれは伝統的データベースを分散型台帳にしたというものが殆どです。

とはいえ、当社も多数の貿易実務を実施しています。送金、船荷、関税、倉庫どれをとっても非合理的なやりとりばかりで、世界的な改善の余地は大いにあると感じています。

5.プロセス・取引の全自動化・効率化の実現

新型コロナ感染症の影響で、大きな進捗が見られそうなのがこの分野です。ニューノーマルと言われる新しい社会生活は、今まであたりまえであったことがあたりまえでなくなり、新しい当たり前が生まれてくると言われています。それは、2メートル離れて話すソーシャルディスタンスであったり、食事を横向きに並んで食べると言ったことであったり、テレワークであったりすりわけですが、その根底にある理由はもちろんウイルス感染対策です。ウイルス感染対策としてそのようなニューノーマルが浸透するにつれて、人々の心の中には、自分は伝染りたくないという恐怖心が満ちていきます。そうなるとよりニューノーマルな社会生活が進み、「人と接触したくない」という新しい動機が生まれてきます。そのような中で、非対面、非接触のビジネスが増加するのは明白であり、そのビジネスを支える非対面、非接触のソリューションも活況となってくるでしょう。

簡単な例として、飲食店のデリバリーピックアップボックス型のスマートロッカーを考えてみましょう。ソーシャルディスタンスの一環として、どうしても飲食店内部で人と一緒に食事をするという習慣自体に恐怖心を覚える人が増えていきます。そうするとデリバリーの需要が増えると同時に、対面で受け取るデリバリーですら接触と考え、人から受け取りたくないという需要が出てきます。そこで活躍するのがデリバリーボックスです。スマホから注文した商品を店頭のフードボックスで受け取って帰る、とういったニューノーマルが普通な生活になるでしょう。

この時、このスマートロッカー自体が一種の自動販売機として機能して、お金を払えばカギが開くという役目を果たします。もともとイーサリアムのスマートコントラクトは契約の自動販売機というコンセプトで開発されていますので、相性が悪い訳はありません。このような新しい需要から、新しい経済が生まれ、その経済活動を回すために、新しいテクノロジーが生まれ、そのテクノロジーがブロックチェーンであってもいいのではないでしょうか。

確かに、先述の通り、まだまだブロックチェーンの社会実装には大きな課題があり、乗り越えないといけない山がたくさんあります。しかし、幸か不幸か、折角大きく世の中が変わろうとするこのポストコロナの時代に、新しい技術の社会実装があってもいいと思いますし、むしろそうあるべきだと思います。ブロックチェーンに繋がったデリバリーボックスは、現存するスマートロッカーとは何が違うのでしょうか?それはP2Pで音楽シェアリングを実現したNapstar的なものでしょうか?誰かが預けた何かが取り出せたりするのでしょうか?ビットコインのようなあらゆるP2Pデジタルマネーでの取引ができる機械でしょうか。いや、きっと何も変わらないと思います。むしろ既存のスマートロッカーより少し複雑でしょう。でもP2Pで繋がるスマートロックやスマートロッカーが世の中に増えてくると何かが変わると思いませんか?変わると思う人がいて、同時に変わらないと思う人がいる、それが世の中です。しかしながら、ブロックチェーンロック社はそのような少年的なワクワクする楽しみを満喫しながら、日々のIoTビジネスをやっています。理想を持って、実在する課題解決に取り組んでいると、答えが分からなくても、その謎解きをする過程で何かが見つかるかもしれません。もちろん何も見つからないかもしれません。次の記事を書くのに1年開ける気はないのですが、いずれにせよ1年後この記事を振り返った時には、ちょっとした何かが見つかっている気がしています。

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ブロックチェーンロック株式会社
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2019年初めてのポストになります。業務が忙しく筆無精になってしまいました。今年も読者の皆様に意義のあるポストをできる限り多く投稿していきたいと思います。

先日、経産省の3年前の報告書をたまたま見る機会があったのでそれについて考えてみました。経産省の報告書によるとブロックチェーンで社会変革が期待されている分野は下記の5つでした。

1.価値の流通・ポイント化、プラットフォームのインフラ化

2.権利証明行為の非中央集権化の実現

3.遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現

4.オープン・高効率・高信頼なサプライチェーンの実現

5.プロセス・取引の全自動化・効率化の実現

さて3年経ってそのうちの何れかが実現されたでしょうか。またそれを踏まえてブロックチェーンロック社(以下BCL)はどこへ行くのかのを考えてみます。

ブロックチェーンの過去3年を振り返ると、昨年の仮想通貨バブル以外はほとんど何も起こらなかったというのが本当のところではないでしょうか。その理由はいくつか考えられるのですが、強いて一つと言われれば、結局、「世の中の仕組み」がそうできていて、「企業は囲い込みが好きだ」ということに尽きるのではないでしょうか。自分の住所を人生で何回書いてきて、免許書のコピーを何回送っているのか。そもそも免許書のコピーなど送ることに意味があるのかと考えることもなく送り続けている。そのような事が起こるのは、政府の規制が各企業に、そのような本人確認を各企業がやることを強いているのが一つ。また、各企業が会員の皆様への会員ビジネスという錦の御旗を盾に、”○○ポイント”をばらまく代わりに、ビッグデータビジネスとして個人情報を売り歩きたいからという点につきます。

会員ビジネスプラットフォーマーが強すぎる中、巨大な敵と戦いながら、規制も敵に回して、分散化を声高に叫ぶだけで社会変革は実現できません。社会の変革は破壊的創造なくしては成り立たず、既成事実という壁は大きいという事実を、正に証明した3年間ではないでしょうか。

そのような八方塞がりの中、BCLはどこを目指しているのでしょうか。

先の経産省の事例でいうと、現在BCLでは、1.価値の流通・ポイント化、プラットフォームのインフラ化、2.権利証明行為の非中央集権化の実現、3.遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現、4を除き、5.プロセス・取引の全自動化・効率化の実現、の4つの分野でブロックチェーンを利用しています。

私どものビジネスを知らない皆様方に簡単に当社のビジネスを紹介しますと、インフラとしてのブロックチェーンの上に、IoTプラットフォームを構築をし、デバイスとそのコネクティビティ、更には決済システムを提供することでデバイスだけで動産、不動産の安全な貸し借りを実現するビジネスモデルを構築しています。

その文脈で行くと、上記の4つのポイントで下記の様にビジネスを構築しています。

1.価値の流通・ポイント化、プラットフォームのインフラ化

当社でもトークン的価値の移転について多くの研究をしております。私どもはブロックチェーンのチェーンそのものの開発をしつつ、その上に実業務を構築しているという自負があります。それ故にもし結論めいたことを言えるとするならば、ブロックチェーンが最も得意なのはこの金銭的価値の移転だと言えます。ビットコインに始まったブロックチェーンはもともとが安全に資産を移転するために作られたP2Pのネットワークであり、その上に世界中の天才がいろいろなユースケースを考えてみたけれど、結局このユースケースに勝るユースケースは未だに見つかっていないのではないでしょうか。

2.権利証明行為の非中央集権化の実現

ブロックチェーンの一つの大きな特徴が改ざん耐性です。その特性を利用すると、机上の理論では各種証明書等の非中央集権化が進むはずです。しかしそれがなかなかうまく行っていないというのは、先述の通りです。一方で、私どものビジネスの文脈で考えると、IoTデバイスがブロックチェーンに繋がっているからこそできることは、その利用履歴の安全かつ公正、透明な保存です。この透明で永続的な履歴の保存がができることで助かるビジネスは多数あるはずであり、当社はその価値を提供します。

3.遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現

もともと私どもが挑戦してきたのがこのシェアリングビジネスであり、今でもそれの分散的効率化に挑んでいます。しかしながら、圧倒的な集客力と、中央集権であるからこその安全性、利便性はやはり大きく、分散化している価値とは何かをよくよく考えることとなりました。この点については後述します。とはいえ、P2Pでモノの利用権の移転を安全に行えるというのは1つめのコンセプトと同じであり、当社がこれを追求することに変わりはありません。

5.プロセス・取引の全自動化・効率化の実現

最後に、イーサリアムに代表されるスマートコントラクトで契約を自動化できるという挑戦です。私どものビジネスでもスマートコントラクトを利用して、貸し借りという契約の自動化を推進しています。とはいえ実装しているからこそ分かることは、そんなことはユーザー目線でいくと知ったことではなく、開発者視線でいくと、シンプルな業務を複雑にしているだけです。果たしてスマートコントラクトは世紀の発明なのかの判定は、私どものような実ユースケースを作る者に委ねられているのではないでしょうか。

さて、このように複数のブロックチェーンの特性を最大限に利用してビジネスを構築しているわけですが、それら全てに対して、FAQである、「ブロックチェーンである必要はあるのか?」と問われて、答えるとするならば、「その必要はない」ではないでしょうか。この論争の多くの部分が、中央集権対非中央集権の宗教論的な文脈で捉えられていますが、私どもはそのような思想論争にはあまり興味がなく、この先の見えない努力の先に何を見出したいかという過程のモチベーションに興味があります。

中央集権化、非中央集権かといえば、比較論でいうと分散型を推進する立場ですが、エクイティ・ファイナンスを受けているスタートアップとしては、自社の成長を最優先にしていかなければならない中央集権的な宿命を追っている組織でもあります。そのような中でもいろいろな喧騒から少し距離をおいて、私どもが目指したい世界とは次のようなものです。

それは、各個人が「自分で資産を持つ」世界。ブロックチェーンの世界では資産を持つとは、「秘密鍵」を持つことともいいます。この秘密鍵を持つというのはどういうことかというと、資産に対する所有権の宣言ともいえます。それは、自分の個人情報かもしれないし、ビットコインのような金銭的価値かもしれない。もしくはカギの先にある不動産の利用権かもしれない。そのようなあらゆる資産を自分自身がコントロールする世界。そのような世界では、小さな商取引も、既存の金融を提供している体制に搾取されることなく(あるいは比較的搾取が少なく)その取引を実行することができます。つまり、何かに対する対価は相対する取引相手のウォレットにあっという間に入っていくのです。分かりやすい例でいうと、IoTデバイスを通してスペースを貸し借りしているオーナーのポケットに瞬時に収益が手数料を引かれることなく入るということです。今までのようにカード会社の決済に手数料を払いつつ30日待つ必要はなくなります。確かに既存の金融システムも非常に効率的にできています。これ以上効率化する必要はないかもしれません。しかしながら、この自分のウォレットに瞬時に資産が入る世界と、法人が銀行口座から振り込むをするときに感じる苦痛的な手数料が存在する世界とを比較すると、私どもの中では目指したい方向は明らかです。

その上で、ITとはグローバルなもので、当然ブロックチェーンもグローバルであるべきです。そのような中でP2Pでの取引に国境がなくなったら何が起こるでしょうか。Ripple社が数百万ドルの送金を瞬時に完了させたというニュースには大きな価値があると思います。しかし、ブロックチェーンが本当に解決するものはもっとミクロな個人の繋がりです。例えば、日本に出稼ぎに来ている家族が自国の家族へ送る5000円、手数料を引かれない5000円そのものを送れること、そこに大きな価値があると感じています。この各世帯の絆が、ブロックチェーン本来の価値である「人と人が繋がる力」としてネットワークエフェクトを生み出し、一つの経済圏を生み出します。そのような多少分散化された小さな経済圏がIoTとブロックチェーンの力を利用することで、地球上に1つ、2つと出てきて、それらが最終的にボーダレスな金銭的価値として繋がる世界。そういう世界を見ることが、ブロックチェーン分野で何かを実現したい私どものささやかなモチベーションです。この世界観を我々はマイクロ・ブロックチェーンが実現する世界と呼んでいます。

私どもはIoTデバイスを利用したシェアリングや、デバイスに対するP2Pの支払いというニッチな取り組みを通して、そのような、よりメッシュな形で人々が繋がる、「より人間味のある世界」の構築に貢献していきたいと考えております。


2018 is about to finish quietly. In Japan, towards the end of the year, one word is chosen to reflect all that has happened: the word chosen was ‘disaster’. Similarly, the same could be said of the year for the blockchain industry — disaster; the market price of cryptocurrency crashed…


2018年の静かに終わろうとしています。2018年の漢字は「」とのことですが、ブロックチェーン業界も仮想通貨の相場だけみると正に「」となる一年でした。そらみたことかと嘲笑する人たちを脇目に創業したブロックチェーンロック社ですが半年ほど全力疾走して、2019年を明るく迎える予感とともに2018年を振り返ってみたいと思います。

多くの試行錯誤と多くのプロジェクト相談を頂きながら見えてきたものは、我々がブロックチェーン技術の社会実装の最先端を走っているという事実です。「どうしてブロックチェーンが必要なのか?」、「何故RDBでは駄目なのか?」と、多くの疑問と質問を頂きながらも、「やってみないと分からないからやってみているのです。」、と微笑みながら実際にコーディングを進めてきました。

結果、驚くことかもしれませんが、この半年間書き続けたコーディング行数の約9割はブロックチェーン関連のプログラムではありません。ブロックチェーン上で動くビジネスアプリケーションのプログラムが大半です。では、これをもって、「ほらやはりブロックチェーンはいらなかったじゃないか」ということになるのでしょうか?我々はそうは思いません。ブロックチェーンそのものと、その上の乗るビジネスアプリケーション双方を作っているからこそ分かってきた知恵と知識が我々の財産です。通常のビジネスアプリケーションを作る上でP2Pで動くスマートコントラクトはほとんど必要ないといえるでしょう。むしろスマートコントラクトを入れることで、今までシンプルだったビジネスロジックが複雑極まりないものになってしまいます。もし全てがP2Pで動くのであればそれでもやってみる価値はあるかもしれませんが、P2Pで全てが完結することはほぼありません。仮想通貨業界でユニコーン企業のCoinbaseなどがユニコーン企業であるのは強力な収益性があるからで、その収益は中央集権的なビットコインブローカーという企業活動によりもたらされています。中央集権でビジネスをやるのであれば、過去20年間やってきたように既存の技術でビジネスをやる方が圧倒的にこなれておりスムースです。これは実際に業務フローを書き出し、コーディングをしてみれば分かることです。残念ながらそこまでのレベルでの実装を行った企業数は限られており、それ故に我々がその限られた一社であること大きな価値があると思っております。

このコンテキストでいくとブロックチェーンの価値とは何なのでしょうか。ブロックチェーンロック社では下記の4つのポイントがブロックチェーンの価値とその価値を実現するために必要な要素と考えております。

1.ゲートウェイサービス

あらゆるものがインターネットにシフトしているとはいえ、我々は最終的には仮想世界ではなく現実世界に住んでいます。その現実世界での価値は皆さんが普通にアクセスできる動産・不動産そのものです。駅前に転がっている自転車を拝借すれば目的地に着くのに楽なのにみんなそうしないのは、そういうルールが現実世界にあり、カギのあるなしに関わらず動産・不動産は所有者のものであるという規則をみんなが理解しているからです。それでもその規則を破る輩がおり、その度に警察や裁判所が出てきて逮捕や強制執行をすることで世の中の秩序が保たれているのです。そう考えるといかにP2Pで動産・不動産が移転しても最終的にその権利を保証する企業もしくは政府がいなければ画餅となるのは理解いただけると思います。ブロックチェーンロック社がスマートロックを最初のブロックチェーンビジネスに選んだのもそのような理由からで、スマートロックの先にある空間の利用をブロックチェーンが保証することはできますが、ルールを守らないユーザーの対処は営利団体としてビジネスをしているブロックチェーンロック社の仕事となり、それを含めた活動がそのサービスを現実世界で「使えるサービス」としてユーザーに届けられます。

このゲートウェイサービスは本筋的には、対象となる動産・不動産が貴重なものであればあるほど、永続的に提供される必要があり、伝統的な金融機関や政府機関など本来その役割を担ってきたプレイヤーが提供すべきものです。現実問題としてそうなっていないのは、その価値に気づいていないか、気づいても動けない責任者の怠慢です。

2.本人確認サービス

そのような伝統的金融機関や政府が闘ってきた相手が半社会勢力、犯罪者、テロリスト達です。銀行口座を開設する時にうんざりするような手続きが存在するのは、大半の善良な人たちのためではなく、そのような半社会勢力を除外するための永続的で真剣な世界的な努力です。本日の経済繁栄を享受しているコミュニティの一員として、暗号通貨だからといってその努力を嘲笑したり逸脱していいわけはありません。このことはビットコインから始まったブロックチェーン技術に関わる者として最低限押さえておかなければいけない基本的ルールです。

その文脈でいくと、ゲートウェイで結びつける「換金され得る」高価な動産・不動産の「所有者を法的に確認する」ことは非常に重要なプロセスです。逆説的に考えると全てが改ざん不能な形で保存されるブロックチェーンの価値は、しっかりと実施された本人確認プロセスと連携してこそ発揮されることになります。

またユーザービリティという面からしても、しっかりと考えられたブロックチェーン技術に裏打ちされた全く新しいデジタルアイデンティティの登場は大きく歓迎されるものです。皆さんが自分の人生を振り返ってみて、何度同じ住所情報、生年月日情報等を記載して来たか考えると、そのプロセスが合理化されるのは喜ばしいことで、テクノロジーの当然の帰趨です。ブロックチェーン先進国のエストニアでは住所情報を二度書かせることは違法です。日本ではマイナンバーカードは冗談のように普及していませんが、ブラジルでは就労ビザをもらうよりも先に納税番号をもらいます。そのような強力なアイデンティティを誰に委ねたいかを考えることがブロックチェーンビジネスのヒントではないでしょうか。

3.ウォレットサービス

ブロックチェーン技術の文脈で語るウォレットサービスとは、一般人が通常の生活の中で思いつく銀行のモバイルアプリではありません。ウォレットアプリに保存される秘密鍵は、上記に記載してきた金銭に交換され得る高価な動産・不動産の所有権そのものです。その秘密鍵を無くすとその資産の復元は不可能です。それは技術的な限界の問題ではなく、そもそもの設計でそうなっているのですが、それを一般人に理解しろといっても無理な話です。なぜなら現在の現実世界でいろいろなアイデンティティを無くしたとしても、結局はそのサービスの管理者が適当な本人確認でアイデンティティーの復元を補助するからです。パスワードがわかり易い例ですが、キャッシュカードを無くした際の再発行や、クレジットカードの不明なトランザクションの問い合わせ等、レベルによりますが基本的には誕生日と電話番号、住所確認程度でリクエストは承認されます。

ブロックチェーンの世界に戻って、このようなある程度ゆるいユーザービリティをそもそも提供するのかしないのか、提供する場合どのように提供するのかがブロックチェーンサービス会社としての課題となります。既存のソリューションに匹敵するゆるさで、圧倒的にセキュアな秘密鍵復元サービスの提供が大きな競争優位になると思われます。

また、その文脈でいくと究極的に大切なものは秘密鍵ということになり、ゲートウェイサービスでもブロックチェーンインフラでもなく、ウォレットサービスが最も重要なサービスであるともいえます。従い、ウォレットサービス提供者もゲートウェイサービスと同じく、永続的にサービスを提供していく健全、堅牢なビジネス主体である必要があります。

4.ブロックチェーンサービス

最後のそれらの3つのポイントを押さえた上で、再度ブロックチェーンサービスに期待されることを考えてみます。基本的にはブロックチェーンは複数参加者が書き込むセキュアなデータベースということですが、その要素を噛み砕いて上記の文脈に照らし合わせると、ブロックチェーンを表す漢字は下記の3つの単語に分類されると考えます。

「世界」

「安全」

「透明」

ブロックチェーンは直前のブロックのハッシュが現在のブロックに埋め込まれることで、ブロック生成をチェーンのように繋げていき、一番長いチェーンがいつも正しいという仕組みです。それは本来的には「世界中」の参加者が自由に参加できるデータベースで、その参加者が自分の利益のために自由に参加できます。そのような環境下でも一番長いチェーンが正しいというコンセンサスアルゴリズムが働き、その仕組みのおかげで、チェーン全体の「安全性」が担保されます。そしてその過程で生成された全てのトランザクションを誰でも参照し検証できるという「透明性」がネットワーク全体の価値を高めるのです。その際、本人情報を持っているのは本人だけで、ゲートウェイサービス会社は本人確認がされたという情報のみを持っており、ネットワーク検証者は匿名アドレス情報しか持っていないという構成が、今までにない形でプライバシーを保護しつつも透明性を世界レベルで提供できるようになります。

これらの複合的な要素をシンプルに構成してユーザーがメリットを簡単に見つけられるようにするのがブロックチェーンサービス会社の仕事といえ、それこそがブロックチェーンロック社が探求しているゴールです。

2019年が楽しみになってきました。


ERC20のトークンの中には好調なものもあるようですが、Ethereum本体の価格は底なしの様相です。ブロックチェーンの将来に暗雲が立ち込めている今こそ我々のような使命感のある企業が世の中に役立つ技術を送り出す時だと身を引き締めております。

そのような中、先週一週間を当社の上海開発センターで過ごす機会がありました。BCLチェーンそのものはようやく複数ノードでよちよち歩きを初めた形で、まだまだやることが山積みです。しかしブロックチェーンプロジェクトの良いところは、全ての課題を自分たちだけで解決する必用がないことです。トークンエコノミー導入による企業連合のありかたの変化に伴い、収益モデル自体が変わってきています。オープンソースでも収益がでる仕組みもできあがりつつあり、多くのオープンソースプロジェクトがでてきました。それらのコミュニティが結束して、スケーラビリティやパフォーマンスなどのブロックチェーン固有の課題を解決しようとしています。我々もそれらの新しい取り組みを取り込みながらも、自社の知見に関してもなるべく多くをオープンソース化していきたいと考えています。

先ずはブロックチェーンロック社が何をやっているのか、技術の組み合わせとうい形でご紹介してみようと思います。我々のビジネスを簡単に言うと、ブロックチェーンの力でスマートロックを開け閉めし、P2Pでの鍵と鍵の先にある空間等の貸し借りと支払いを実現することに取り組んでいます。そのように言うのは簡単ですがそれを実現するには下記のような多重なレイヤーのテクノロジーが必要となってきます。


先週シンガポールで行われたアジアで初めて行われたブロックチェーンに関するカンファレンス、コンセンサス・シンガポールからの流れで、ジャカルタにてINDODAXとTokenomy主催のブロックコミュニティーというミートアップに参加してきました。その前の週では韓国はチェジュ島でのWBFにて、BCLプロジェクトの開始を本格的に世界に向けて宣言することができました。

多くの人と話して最近のトレンドとしてひたすら言われるのは、「ブロックチェーンの技術がいいのは分かった、その上であなたのプロジェクトのユーザーアダプションはどうなんだ?」という質問です。ここ数週間の話題をひとつにまとめると「アダプション・アダプション・アダプション」です。実際のユースケースのないブロックチェーンはいらないということで、それは我々BCLが目指そうとする世界そのものです。マーケット全体がそのように動いていることには好感が持てました。このようにブロックチェーンを取り巻く状況は日々大きく変わっていますが、ジャカルタで参加したパネルディスカッションを通して、今までの私の考えをまとめることができたので、今回は会場でのディスカッショントピックに対する私の回答という形の文章にしたいと思います。会場では時間が限られており全てのことをお伝えできませんでしたが、ここに詳細に記載させていただきます。

「何故トークン化なのか、何をトークン化しているのか?」

我々のホワイトペーパーはまだ公開していませんが、その冒頭に「鍵は4000年前に所有権の証明として発明された」と記載しています。鍵とはもともとは権力を持つものが自分の所有権を証明するための手段だったのです。時は流れて4000年が経ってもその本質は変わりません。翻って、貧困に苦しむ国が長らく貧困に苦しむのは、所有権を証明する手段がない、もしくはあっても簡単に権力者に改ざんされてしまうためです。ガーナで家の玄関にこの家は売りに出ていませんと書かないといけないのは、そうしないと自分の所有権を証明する手段がないからです。

一方の先進国では信頼できる政府の存在によりそのような問題はありませんが、市場に溢れる製造業者により大量生産され、マーケティング会社から押し売りされる商品により必要以上にモノを持つに至っています。もし自分の所有動産、不動産を簡単に、安全に貸すことができれば、世の中に溢れるモノはより少なくなるはずです。もし、一時的に所有権の移転を受けた者があたかもそれを自分の所有物のように丁寧に大切に扱えば、自分のモノを貸し出そうとする人もより増えるはずです。BCLではこの所有権をトークン化してシェアリングすることで世の中の効率や環境がよりよく進化するものと信じています。

「インドネシアに期待することは」

インドネシアは大きな人口をかかえる東南アジアの大国であり、自分が10年前に訪れたときから驚くような発展を遂げています。おめでとうございます。ただそれだけが今回インドネシアを訪問した理由ではありません。我々が考えるブロックチェーンとはグローバルなものであり、世界中の人々が支えるインフラだと思っています。そのような観点で考えるとインドネシアに限らず我々の思想に共感して頂けるパートナーを各地域で開拓していくことは非常に重要な活動となります。今までのトラディショナルなビジネスとは違いインフラが簡単にグローバルなものになるために、その上でのユースケースの開発は日本でのビジネスモデルの確立を待つことなく並行して進めることができます。逆に並行して進められないのであればそれはブロックチェーンの力を存分に発揮できていないとも言えるでしょう。従いそれが日本から見た地球の裏側のブラジルであっても同時並行でユースケースの開拓と、パートナーの開拓、投資家と開発者コミュニティの育成をやっていく予定です。

「昨今の政府の規制についてどう考えるか」

アメリカのSECは証券かどうかについて躍起になり、なるべく既存の証券取引法の枠組みに倒そうとしていると言えます。その真意はアメリカ人でないので分かりません。一方でシンガポールのMASはよりオープンにこの潮流を捉えてシンガポールに多くのプロジェクトを引き寄せようとしています。それはコンセンサス・シンガポールのカンファレンスでも政府担当者がはっきりと言っていました。昨今は韓国でも規制が厳しくなりシンガポールでの法人設立が流行っているようです。このように一つ言えることは、自分の国という権力を揮える場所では何らかの規制は有効であるものの、一旦国外に出てしまうと、もう規制は困難であるという事実です。奇しくもサトシナカモトが論文の中で言ったように、中央集権者のいないP2Pが広がればもはや単独地域の規制で全てをコントロールするのは不可能です。DEXの登場によりそれはより不可能なものへと進化していくでしょう。

一方で、だからといって政府が規制を諦めると考えるのは早計です。奇しくも先週Zaifのハッキングがあり、日本で3度目の大型仮想通貨流出事故となりました。テクノロジーを商売とする同じ日本人としては恥ずかしい限りです。このようなことがあるから仮想通貨は何かインチキ臭い人間がやっている詐欺にビジネスだと決めつけらてしまうのも理解はできます。

物事を正しく判断するためには、政府が本質的に何を規制しようとしているのかを考える必要があります。海外の政府のことは分かりませんが、少なくとも日本政府に関しては、健全な仮想通貨市場を作ろうとしていると評価できるのではないでしょうか。同業者からコインチェックインシデントのせいで仮想通貨交換業に参入するのがほぼ不可能になったという愚痴を聞くこともあります。しかし、金融庁にとり金融商品の健全な発展と投資家保護は最優先事項です。金融業をやるという覚悟や資本、資質がないものが参加しないように、ビジネスに参加するハードルを上げるというのは当然の判断だと思います。

もう一方で、反社会勢力やアンチテロリズムといった観点からマネーロンダリングを防止することも全世界の政府の主要な取り組みです。全ての政府が協力して力をいれていかないと不正な資金の流れはなくなりません。そういう意味で残念ながら匿名性の高いコインが取り扱えなくなっていくのはやむを得ないことでしょう。

そのような努力を続けてもどこかに抜け道はできていきます。それは今の法定通貨の世界でも変わりません。しかし、このテクノロジーに関わるビジネスをやるものの責任として、政府のそのような意向を尊重しビジネスに取り組んでいくことは、世界をより良くするために必要なことだと感じています。

「このベアマーケットをどう考えるか」

確かに相場は悪いですし、底なしのようにも映ります。しかし我々には2つの信念がありこのマーケットを楽観的に捉えています。

ひとつは、我々は自分たちのことをビジネスマンと呼んでいるのですが、株式市場の悪化によりビジネスをやめる企業はないわけで、相場にかかわらず我々は我々のやることをしっかりとやっていきます。先程の政府の規制とも少々重なりますが、政府が規制を強化して、相場が悪くなっただけで出ていく人々は初めからそのような観点でこのブロックチェーンビジネスを考えていないはずです。それはイージーマネーの対象として考えている人をこのビジネスから遠ざけて、本当に真面目にビジネスをやろうとしている、我々のようなプロジェクトにより大きなチャンスが回ってきたと考えられるでしょう。BCLプロジェクトチームにはそれをやり遂げる高い技術力と、高い志があります。

もう一つのポイントは、我々もブロックチェーンロック株式会社を既存のエクイティファイナンスで成長させていく予定です。一方であまりご存じない方のためにご説明しますと、我々はシンガポールに別法人BCL Foundation Ltd.を展開しています。これはエクイティとトークンの責任範囲をしっかりと分けて、両社間の線引きを明確にし、BCL Foundationはトークンエコノミーを推進し、ブロックチェーンロック株式会社はエクイティでの成長を目指すためです。役割分担としてはBCL Foundationがブロックチェーンのインフラを世界中のコミュニティと一緒に作り上げていき、ブロックチェーンロック株式会社はBCLチェーン上の実際のユースケースや、BCLチェーン対応のデバイス販売、サービス展開をしていきます。とはいえ双方がもう一方をなくしてBCLエコシステムは完成しません。この前提でいくと、例えばブロックチェーンロック株式会社に通常のエクイティラウンドで評価がついていく際に、そのインフラになるトークンには何の価値もないものでしょうか?本当にエコシステムが大きくなり有効に機能し始めた時、そのトークンにはそのエコシステムを反映するなんらかの価値があるはずです。ブロックチェーンロック株式会社の株を世界中の人が気軽に買うことは、きっと主要国の一部市場に上場しない限りできないでしょう。しかしトークンなら誰でも買えます。世界中の人が気軽に買えるようになるのです。投資家に投資をして頂くことに対して、経営者にはその期待に応えるという経営者としての責任があります。誤った情報や詐欺まがいな行為で値段を釣り上げないように、マーケット全体がその透明性の確保に努めつつ、そのエコシステムに参加する誠実な経営者、それを成長させたい中央政府とも協力をしながら、よりよいトークンマーケットを作っていくことで、その成熟とともにトークンの潜在的価値は従来の株式とは比較にならない規模で広がっていくはずです。

「最後に一言」

我々の信じるブロックチェーンの力とは人の力です。この会場にいる人、一人ひとりがブロックチェーンを通して繋がることで、その人の数のべき乗でブロックチェーンの力が増していきます。そういう意味でブロックチェーンにも従来のインターネットビジネスと変わらないネットワークエフェクトがより強固に働いていると言えます。

一方で、ブロックチェーンビジネスをユニークにしているのはそこにトークンがついていることです。もしBCLトークンに賛同してくれる世界中のコミュニティが、BCL商品やサービスの自国での販売と展開を心待ちにBCLトークンの売買をしてくれていればどうでしょう。新規に参入する国でのBCLの新しい商品やサービスの「アダプション」を飛躍的に早めることができます。それがトークンエコノミーの最大の利点です。

冒頭に言いましたとおり、アジアのブロックチェーンカンファレンスを通してずっと言われていたのが、「ブロックチェーンに将来があるのは分かった、そろそろアダプションを見せろ」ということです。その実現のためには普通のB2Bビジネス、もしくはB2Cビジネスに対するものと変わらない企業努力が必要となります。BCLプロジェクトはそのような将来を見越して、不断の営業努力と企画力、開発力で実社会への「アダプション」を最優先に考え行動しています。更には、そのような我々を応援していただける投資家の裾野が広がるという意味で、インドネシアをはじめ多くの国で我々のトークンが気軽に売買できるようになるよう、パートナーシップ開拓にも努力していきます。そういう意味で今回INDODAX、Tokenemyのような地域の強力なパートナーとプロジェクトを進めていくことは我々にとっても非常に重要な戦略となります。

本日はありがとうございました。今後ともBCLの応援をお願い致します。

Okamoto Ken

BCL Foundation

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